ストレングス・ファインダー34資質のひとつにスポットを当て
その強みを使ったワタシのショートストーリーをお届けするシリーズ
「そこにいるワタシ」の第3回です。
今回は「共感性」(人間関係構築力の資質領域)を取り上げてみました。
さて「共感性」の才能を持っている人はどんな活かし方を
しているのでしょうか?
ストーリーの主役は、あなたかもしれません。
“わかるわかる” あなたの気持ち、よくわかる

「ランチのとき、相談にのってくれるかな。」
朝の更衣室で、同期の朋美に声をかけられた。
「もちろん」と、聡子は笑顔で答えながら思った。
わたし、相談されること多いなぁ。
小学校のころから、よく相談を持ちかけられていた。
同級生だけでなく、先輩や後輩にも相談されていた。
「聡子に話しを聞いてもらえると、
すごく親身になって聞いてくれるから
安心して落ち着くのよ。」
聡子は、自然と相手の気持ちに寄り添うことができた。
辛い状況も、悲しい事態も、嬉しい出来事も。
相談相手は、自分の気持ちに寄り添って話を聞いてくれる
聡子の少しうるんだ瞳を見ていると、
それだけで、心が軽くなっていくのだった。
* * * * *
月に1回の部内会議。
1ヶ月の作業スケジュールの確認や、
仕事上の問題点をチェックしていく。
課長以下10人のメンバーだが、
こんなとき、聡子はひたすら黙って話を聞いている。
意見を求められることもあったが、
相手の立場や気持ちがわかってしまうから、
違う意見を言うことはなかなかできなかった。
聡子は争い事が苦手だった。
小さい頃から、争いが起きないようにするにはどうしたらいいか、
ということばかり考えていた。
相手の気持ちがわかってしまうから、
違う意見を言えなくなってしまうのだ。
だって、嫌な思いをさせたくないじゃない?
聡子はいつだって誰も傷つかない、
平和な世界を望んでいた。
* * * * *
「なぜ、説明できないんだ!!」
まだ新人の亮子が、課長代理に詰め寄られていた。
「あ、彼女を追い詰めたら
ますます喋れなくなっちゃうよ。」
聡子は思わず亮子の席へ近づいて声をかけた。
半分泣きそうな亮子の両手をポンポンと叩きながら
「大丈夫だよ。ちゃんと理由はあったよね。
ゆっくりでいいから、教えて。」
すると、言葉が出なくてうろたえていた亮子が
ほっとした表情でぽつりぽつりと話し始めた。
聡子は、
こうやって感情がいっぱいになり
言葉が迷子になっている人の傍らで、
感じていることや言葉をうまく引き出す手助けが
自然とできるのだった。
相手も、聡子が自分の気持ちに伴走してくれることで
安心して自分の感情を出すことができるのだ。
「最初から、そうやって説明してくれたらいいんだよ。」
課長代理は自分の席に戻っていった。
「聡子さん、ありがとうございます。
また助けてもらいました。」
聡子自身は気づいてないが、
彼女がいることで、周りは穏やかな空気に包まれて
職場になくてはならない存在だった。
* * * * *
雪のちらつくイルミネーションの間を
聡子は足早に家路を急いでいた。
すれ違うカップルを横目で見ながら
まだ見ぬ自分の結婚相手に思いを馳せていた。
実は少し結婚に対して心配があった。
聡子は人の感情を受け止めすぎて
気持ちが左右されることが多いため
穏やかな生活を過ごすことができるか
不安を感じていたのだった。
「私は相手の感情次第で、
気持ちが上下左右に振られちゃうから、
感情がフラットな人と結婚したいな。」
そのとき、聡子のスマホが鳴った。
同期の朋美からだった。
「聡子、どうしても聞いて欲しいの。
だって、彼がね・・・・・・。」
聡子はカフェの軒下で雪を払いながら
スマホを右手に持ち替えた。
「わかるわかる。
あなたの気持ち、よくわかる。」
聡子の顔をカフェの柔らかい灯が
照らしていた。
「共感性」の強みを活かそう

「共感性」の才能を持つ人は、
相手のおかれた状況やできごとに自分自身を重ね合わせ、
自然にその人の感情をくみ取ったり、
感じることができます。
ただ周りの人の気持ちを受け止めすぎ
辛くなるときがあるという話も聞きます。
そんなとき
『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』
この本がおすすめです。
ショートストーリーの聡子のように、
いつも気持ちに寄り添ってくれる「共感性」の人がいると、
周りの人も穏やかな気持ちになって、
平和な空間が広がりそうですね。
「共感性」の才能を持っている人は、
どんどん活かしてくださいね!
